HTML5グラフィックスとは?放送コンテンツクリエイターの間でここまで話題になっている理由は?
今日のブロードキャストライブプロダクションは、より効率的でスムーズかつ高度に自動化され、急速にクラウド化されています。パンデミックによりこのクラウド化に拍車がかかり、私たち一人ひとりが働き方を変えざるを得なくなりました。また、ユーザーの視聴スタイルが大きく様変わりし、コンテンツの制作・配信のあり方にも変革が起こりました。
ワークフローがリモートなハイブリッド型クラウドソリューションに移行するにつれ、放送制作における新たにグラフィックス技術の必要性が高まっています。HTML5 Graphicsがその解決策です。ウェブブラウザとインターネット接続さえあれば、どこからでもグラフィックを作成し、レンダリングすることができます。

Flowics*のCEOであるGabriel Baños氏は、10年以上に及び、HTML5グラフィックスの構築と改良を続けてきました。2023年のNAB Showを目前に控えた今、なぜHTML5グラフィックスが放送業界で注目されているのか、その背景を解説していただきました。
ブロードキャストライブプロダクションにおいて、HTML5グラフィックスとはどのようなものなのでしょうか。
HTML5グラフィックスは、クラウド時代のために作られた、新世代のライブ放送用グラフィックスです。ウェブページのコーディング、デザイン、公開に限定されていた標準的なウェブ言語であるHTMLは、レスポンスの向上、機能性とパフォーマンスの向上、プラグインへの依存度の低下、携帯電話やスマートテレビなどの異なるデバイス間でユーザー体験を再現するアプリケーション間のモビリティ(一度〔プログラムを〕書けばどこでも動く)の向上など、大幅に機能を拡大しています。
放送業界でHTML5グラフィックスの導入が広がった要因はいくつかあります。
まず、ウェブブラウザとウェブ技術の進化(HTML5、CSS、JavaScript)です。10年前には想像もできなかったような性能の高い機能を持つウェブアプリケーションを構築できるようになったのです。しかも、ブラウザとインターネット接続だけで完結します。HTML5グラフィックスも同様に、要はどのブラウザ上でも作成できるウェブアプリケーションということです。
新たなウェブ標準と先進的なブラウザのおかげで、美しいアニメーションを備えたデータ可視化アプリを作ることができ、バックグラウンドでライブデータを取得・処理し、他のアプリケーションと常に1対1の接続を確立して遅延を最小限に抑えられます。
テクノロジーの進化は、オーディエンスの興味を掻き立て、コンテンツとの関わり方を変化させつつあります。
また、HTML5グラフィックスやリモートプロダクションワークフローの導入には、コミュニケーションの進化も欠かせない要素です。4G、5Gの登場により、モバイルのインターネット接続だけで、場所を問わずあらゆるウェブアプリを使うことができるようになりました。
こうした技術の進歩により、コンテンツをより手軽に、高いコストをかけずに制作できるようになりました。日々制作されるライブコンテンツの普及によりコンテンツが充実する一方で、視聴者の奪い合いも激化します。

スポーツ市場に着目してみましょう。パンデミックによって、ファンの行動が変わりました。ファンがスタジアムやアリーナへ行けなくなり、好きなスポーツを観戦するためにデジタルコンテンツを利用するようになりました。これが、OTT(オーバー・ザ・トップ)プラットフォームやチャンネルの成長に拍車をかけたのです。ニールセン・スポーツの調査によると、世界のスポーツファンのうち40.7%が、スポーツ観戦にライブストリーミングを利用するようになっています。
この市場は今後もますます拡大し、視聴者はさらに細分化されていくでしょう。この細分化を解決するため、コンテンツ制作者には、充実したグラフィック、画面上のデータ、インタラクティブな要素、さらに新しいカメラやワークフローの改善など、視聴者を惹きつけ、定着させるための工夫が必要です。
これらの異なるブロードキャストプラットフォームすべてで視聴者にリーチするためには、柔軟性とコスト効率が求められますが、HTML5グラフィックスを使用することで、それが容易になりました。
HTML5グラフィックスで、コンテンツクリエイターの柔軟性とスピードが向上
大小さまざまなコンテンツクリエイターとの会話の中で、制作ワークフローの柔軟性や、その都度に変更・修正できるスピーディーな対応が求められています。

クラウド(リモート)、ハイブリッドワークフローにより、制作作業がより柔軟になりました。従業員が各自で在宅勤務できるため、交通費や機材運搬費を削減できます。もちろん、世界のどこからでも人材を確保することも可能です。オペレーターは、グラフィック制作者との共有や共同作業、その場でグラフィックの変更を簡単に行うことができます。ダウンロード、コーディング、高価なハードウェアも必要ありません。
一言で表すと、HTML 5グラフィックスで実現できるものは次のとおりです:
- あらゆるブラウザからのグラフィック制作
- 敏捷性、コーディングやブロードキャストグラフィックスの知識は必要なし
- クラウド上で従業員との連携を強化
- 世界中からオペレーターを採用
- 制作でより高いコストパフォーマンスを実現
- 出張がなくなり、CO2排出量の削減によるカーボンコストの抑制
HTML5グラフィックスでは、すべてがクラウド上で円滑に行われ、一人でコントロールすることが可能です。
HTML5グラフィックスのもう一つの利点は、ローカライゼーションです。クラウドで作業する場合、同じ放送の複数のバージョンや、パーソナライズされたフィードを簡単に作成することができます。例えば、世界各地に拠点を持つ主要放送局が、他国での視聴を想定し、現地語のグラフィックスを付加した複数の放送信号を送信することができます。

Flowics – ライブプロダクションワークフローの未来を切り開く
Flowicsが他のHTML5プロバイダーと異なる点は、データ統合(ソーシャルメディアを含む)を可能な限りシームレスにするために簡略化したことです。
Flowicsでは、オペレーター1人でHTML5グラフィックスの作成、プレビュー、再生を行うことができます。
作成はウェブエディター上で行います。オペレーターは、ビルディングブロックと呼ばれるあらかじめ決められた要素を、キャンバスにドラッグ&ドロップするだけです。また、さまざまなデータプロバイダー(Google Sheets、タイマー、時計、ソーシャルメディアコレクション、50以上のネイティブデータコネクター)や、あらかじめ用意されたウィジェットを追加することができます。
ビルディングブロックは、形、画像、動画などのベースとなるものです。その名の通り、HTML5のグラフィックスを作成するための基礎となるものです。
データコネクターはFlowics独自のもので、さまざまなソースからの外部ライブデータ(天候、スポーツ、ギャンブル、金融データなど)を、カスタムソリューションの開発やデータの手入力に時間と費用をかけることなく、シンプルかつ合理的にグラフィックスに統合することができます。コーディングは必要ありません。
Flowicsは、サードパーティのソースからスムーズにデータを読み込み、グラフィックの知識がない場合でも、オーディエンスに評価される情報量の多いライブグラフィックを作成することが可能です。現在、当社はスポーツ統計プロバイダー、天気予報、金融、タイミング、スコアリングシステムなど、現時点で最も豊富な50以上のネイティブコネクターを提供しています。
3つ目のコンポーネントであるウィジェットは、タイマーやオーディエンスエンゲージメントツールなどの補助的な仕組みのことです。
ウェブブラウザがレンダリングエンジンとして機能し、オペレーターはオーバーレイのURLを取得し、Live Link経由でTriCasterシステムに接続するだけで、あらゆるライブプロダクションでグラフィックを再生することができ、非常にシンプルです。
Flowicsのプラットフォームは、プレミアムAPIによるソーシャルメディアとの統合を提供することで、さらに進化しています。すべてを1つのSaaSプラットフォームで実現します。そのため、どのような作品でも、ライブデータと視聴者が作成したソーシャルメディアコメントを簡単に統合することができます。
Flowicsは、遠隔地やスタジオ内でのライブグラフィックス、インタラクティブなコンテンツの制作に最適なクラウドベースのリニア・デジタルブロードキャスト会社向けプラットフォームです。当社は日々、サービス提供内容と能力の向上を行っています。
ぜひFlowicsをお試しください:Flowicsの14日間無料トライアルはこちらから*
Flowicsは、Vizrt Groupのポートフォリオに含まれるHTML5グラフィックス製品です。
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